借金救済制度とは?借金を減らせる、借金をなしにできる方法のメリット・デメリット
「借金返済に困っている人を助ける制度ってあるの?」「借金を減らす方法は?」「借金がなくなる方法があればなー!」 借金返済が辛くなってくると、借金を減らしたい!借金をなしにしたい!と考えるようになるかもしれません。
そんなうまい話なんてないでしょ?借金は返す義務があるんだから!と思った方に嬉しい情報があります。
実は、借金問題に苦しんでいる人に向けた、国が認めた「借金救済制度」があるんです。
- 借金救済制度とは
- 借金救済制度(債務整理)の種類や特徴
- 借金救済制度(債務整理)の流れ
- 借金救済制度(債務整理)以外の借金を減らす方法について
- 借金救済制度(債務整理)を専門家に相談するメリット
借金救済制度とは何か?手続きのメリット・デメリットを解説
債務整理とは、借金を減らしたりなしにすることはできないか?を、債権者との直接交渉であったり、裁判手続きを経ていくことで、債務者の借金問題を根本的に解決し、社会復帰を支援する手続です。
債務整理には主に次のような種類があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
- 過払い請求
これらの債務整理のそれぞれのメリットデメリットについて見ていきましょう。
任意整理:債権者と直接交渉して債務を軽減する手続き
訴訟はなく、債権者の意思で手続きの方針が決まります。
「将来の利息」「経過利息」「延滞損害金」のみを減額または免除することが現実的な着地点と考えられます。
- 将来の利息:借金が全額返済されるまで元本に発生し続ける利息
- 経過利息:経過した期間に発生した未払いの金額に対する利息。
- 延滞損害金:返済が遅れた場合に違約金として課せられる損害賠償金
元本は含まれないため、減額幅が少ないと言われている手続きです。
- 利息が免除される
- 短時間で手続きが完了できる
- 財産の流動化なし
- 任意整理する債権を選択可能
任意整理は裁判が不要、債権者との直接交渉が可能なため、個人再生や自己破産に比べて短期間で手続きが完了する傾向にあります。
また、債権者との任意整理の交渉により、債務額を減額するための手続きの対象を選択することも可能です。
借金を一本化すると、住宅ローン返済中の物件は原則としてローン会社に回収されてしまいますが、返済中のローンを任意整理の対象から外せば、家を手放すことなく借金減額することができます。
- 大幅な借金減額は期待できない
- 安定した収入がないと、手続きができない
- 債権者が応じてくれない可能性がある
- ブラックリストへの登録
手続方針は債権者の意思により決定されるため、借金の額を減額できない場合があります。
任意整理では、手続き後3~5年程度で残債を返済するのが一般的ですが、その間に債務を履行する見込みがなければ、債権者は交渉に応じてくれません。
また、将来的に利下げや免除を受けても、未払利息を一切カットしない方針の貸金業者も少なくありません。
個人再生:裁判所に借金の返済が困難である旨の申立てを行い、承認を得て、借金を大幅に減額する手続き
手続き後の返済額や返済予定などを記載した「再生計画書」を裁判所に提出する必要があり、再生計画案が承認されれば、債務額を約1/5~1/10に減らすことが期待できます。
また、債務者の再生計画を支援する目的で、3年から5年程度の長期分割返済を認めるケースもあります。
住宅ローン特則を利用すれば、住宅ローン返済中の家を手放さずにその他の借金を減額することが可能です。
自己破産:裁判所に申し立てによりすべての借金の支払い義務が免除に!
任意整理や個人再生とは異なり、手続き後に借金返済を継続する必要がないため、多額の借金があっても社会復帰が期待できます。
自己破産手続きには「同時廃止事件」「保管事件」「少額管理事件」の3種類があります。
- 同時廃止事件:自己破産の開始と同時に破産手続を終了する手続
- 管財事件:破産管財人が破産手続を行う手続
- 少額管財事件:通常の信託事件よりも低コストで実施できる信託事件
破産手続とは、裁判所が選任した破産管財人が、申立人の所有財産を調査し、貴重な財産を換金し、債権者に分配する手続をいいます。
申立人が換金に値する財産を所有していない場合には、同時廃止事件となります。
少額管財事件とは、破産手続の一部を弁護士が代行することで費用を抑える仕組みです。したがって、弁護士を雇うことが不可欠です。
- 税金や養育費など一部認められない債務以外のすべての債務の免除
- 債権回収業者への対応をもうしなくても良い
- 一定額以下の資産は手放さず保持可能
借金の返済義務が免除され、借金の取り立てがストップすれば、精神的な負担が大幅に軽減されます。
破産後、債権回収を受けても対応の必要はありません。
また、自己破産は原則として所有財産の売却となりますが、差押えが禁止されている家具や衣服、一定額以下の現金などを保有することは可能です。
- 手続き中に資格制限がある
- 破産手続き中に居住制限がある
- 免責不許可事由に該当する場合、免責を受けられない可能性がある
- 官報に掲載
自己破産が開始されると、資格制限が課せられ、弁護士、司法書士、不動産仲介士などの資格を取得できなくなります。
これらの資格をすでに取得している場合は、免除を受けるまでその資格を使用することはできません。
免責不許可事由とは、免除を受けられない理由です。
例えば、借金が過度のギャンブル投資などのギャンブル行為によるものである場合や浪費なども、免責不許可事由に該当し、手続きが不成立となる可能性があります。
過払い金請求:グレーゾーン金利で払い過ぎた利息を返してもらう手続き
過払い金請求とは、グレーゾーン金利に基づいて返済していた際の、払い過ぎた利息(過払い金)の返還を請求する手続きのことです。
グレーゾーン金利とは、利率制限法と投資法で定められた上限金利との間に金利差が生じていました。2006年1月13日より前に借りた場合は、過払いの原因となったグレー ゾーンの金利で借りている可能性があります。
- 過払い金が返還される
- 他人にバレずに手続きがしやすい
- 借金完済すればブラックにならない
最大のメリットは、過払い金が戻ってくることです。
返還されたお金は自由に使えて、他の借金返済にも使えるので、家計を改善するきっかけにもなります。
過払い請求をしたことが周囲に知られるリスクはほとんどありません。
- 過払い金が時効となった場合は返還なし
- 借金返済中に請求した場合、任意整理と同様の扱いとなる
債権者との最後の取引から10年が経過した場合、過払い金は失効し、返還請求ができなくなりますので、早めに弁護士にご相談ください。
また、債務が完済していれば過払い金請求のリスクはほとんどないと伝えましたが、債務が完済できない場合は事情が異なります。
これは、債務返済中に過払い金を請求すると、返還された過払い金が返済に充てられ、借金を減らす目的で「任意整理」をしたと扱われ、ブラックに登録されますす。
おまとめローンは1人の借り手にのみ可能
おまとめローンは、複数の借り手を1つにまとめられる魅力的なローンです。複数の借り手を持つということは、金利が高くなったり、管理が複雑になりがちです。
金利が高いローンを組むと、利息を多く払わなければなりません。また、借り手が複数いると煩雑になるため返済日が複数になり、管理がしにくいのもデメリットです。
おまとめローンで複数の借り手を1つにまとめれば、基本的に金利は下がります。
これは、金利の低い金融機関にまとめられるため、利息分だけ返済しやすくなるからです。また、借り手が1人なので返済も簡単です。
低金利ローンへの借り換えも有効です。金利の低い金融機関に借り換えを行うことです。
一方、ローンの借り換えは、賢く利用すれば総返済額を減らすこともできます。理由は簡単で、金利の低い金融機関に借り換えると総返済額が減るからです。
借金返済が困難な場合は、国が認めた借金救済の制度「債務整理」がおすすめ
おまとめローンや借り換えローンは借金減額の対策として有効ですが、これらの方法でも返済が困難な場合は、借金を減らしたりなしにすることが期待できる「債務整理」をお勧めします。
ただし、債務整理をすると、ブラックリストに載ったり、保証人のついた債務に関しては、保証人に残債が一括請求されるなどありますので、自分にどの債務整理の方法が最適であるかをしっかりと見極めてから動くことが大変重要です。
ブラックリストへ登録されてしまうと、任意整理の場合は約5年、個人再生・自己破産の場合は約5~10年ブラックリストに載ることになります。
信用情報機関が保有する信用情報に事故情報が記録されることを「ブラックリスト」と表現しますが、ブラックリストというものはありません。
信用情報機関とは、法律で定められた個人の信用情報を保有する機関です。
登録されている間は、
- 新規ローンの契約
- クレジットカードの作成、使用ができない
- スマホ本体の分割払い不可
こういったことに制限がかかります。家族がいると今後の生活にも影響があるため注意してください。
また、債務整理により減額された債務の返済義務は、原則として保証人に引き継がれます。残債を一括で保証人に請求するのは、債務整理を行うと主債務者と保証人が「期限の利益」を失うからです。
「期限の利益」とは、債務者が契約条件に従って期日までに債務を返済する権利を指します。ローンの開始時に、借り手は時間の恩恵を受けるため、分割払いが許可されます。
借金救済制度で借金減額を視野に!借金返済が辛いならすぐ弁護士や司法書士に相談を!
債務整理は、国が認めた借金救済の制度です。借金減額が法的に認められているので安心して利用できます。ただ、メリットがある分デメリットもありますので、ブラックへの登録など必ず利用前にチェックをシておきましょう。
裁判所を通さず、直接債権者との交渉で利息カットを目指す「任意整理」、財産を維持しながら借金を大幅に減額できる「個別再生」、すべての債務の弁済義務が免除される「自己破産」といった方法で、あなたの借金問題は解決できる可能性があります。
ただし、借金の状況や債務整理に至る経緯によって、選択する手続きは異なります。
債務整理以外にも、「おまとめローン」や「ローンの借り換え」なども借金を減らせる方法となります。どれが合っているのかを司法書士や弁護士といった専門家にに相談してみることをおすすめします。